借地権

【借地の返還は可能か】30年の借地契約の更新拒否して土地を返してほしい地主

借地返還は可能? 契約更新拒否し土地をとり返したい地主

借地契約の更新をせずに土地を返してもらえるか?

地主Sさんから、自宅の庭先の土地の一部を貸していて、今年の年末に借地契約の更新期限をむかえるが、借地契約の更新をせずに土地を返してほしいが可能か?という相談がありました。

もう少し詳しく状況を聞くとこんな感じ。

30年前にSさんの自宅(名義は当時ご健在だった父)の隣地に賃貸マンションの建築計画がもちあがった。

そのマンションのオーナーOさんは自分の土地が狭くマンション建築に支障があったので、Sさんのお父さんに庭先の土地の一部(約10坪)を売ってほしいと頼んだがお父さんは断った。

売買がムリなら貸してほしいと依頼を受け、お父さんはOさんと借地契約を締結した。そしてOさんは賃貸マンションを建築したが、その10年後にZさんにマンションを売却。

Sさんのお父さんも5年前に亡くなり、現在は地主はSさん、借地人がZさんで、借地契約が続いていてる状態。借地料は年間5万円程度。

 

この借地契約まもなく期間満了をむかえます。

地主Sさんとしては借地契約を更新せずに借地人のZさんに土地を返してもらえるように話をつけてきてほしいというわけです。

貸してる土地は10坪足らずで借地料もしれていますが、契約更新せずに土地を返してもらえるのでしょうか?

 

地主の都合で更新拒否はできず土地を返してもらうことはできない

調べてみると、この30年前に締結した借地契約というのは、借地人の権利が強い、いわゆる旧法の借地契約で借地権が成立しています

春日井名古屋の借地権整理

30年の契約期間が満了しても、原則、建物が存在する限り契約更新です。つまり土地を返してもらうことはできない。

借地人のZさんが合意解除に応じてくれるか、借地料不払いなど重大な契約違反行為がない限りは、契約更新するしかありません。

しかしこの賃貸マンションは借地人の土地と借地部分10坪にまたがって建てられています。

土地を地主に返すとするならマンションを取り壊して更地にしないといけない。

賃貸マンションとして稼働している現状で借地契約を解消して土地を返すというのは、借地人にとっては青天の霹靂、現実的にありえない状況です。

 

土地を返してもらえない地主Sさんはどうすればいいか?

地主Sさんとしては、旧法の借地権が成立しているという状況なので、土地を返してもらえず、借地契約を更新することになります。

地主の立場で考えると、契約更新を前提に自分に利益をもたらす選択肢として、借地料の増額や更新料の請求が挙げられます。

もともと春日井の10坪の土地の賃借。

金額としては大きくないですし、賃借人との合意が必要ですが、交渉をしてみる価値はあるでしょう。

 

マンション建築目的じゃなく駐車場として貸してた場合は中途解約は可能

今回のケースは、借地人Zさんがマンション建築を目的として土地を借りるという借地契約。

地主都合での契約解消は認められません。

しかし、これが例えば、マンション建築じゃなく、駐車場として使用する目的で土地を貸していた場合、借地権は成立しない。

地主の都合でも賃貸借契約を途中で解消して土地を返してもらうことができます。

 

結果、賃料2年分の更新料の支払いで契約更新した

地主Sさんは30年の契約期間満了にともない土地を返してもらえると思っていた。

でも、法的にも物理的にもそれは不可能な状況を理解され、最終的に協議の結果、借地料の値上げはなし、賃料2年分の更新料を賃借人が地主に支払うことで合意。

30年前の借地契約書に基づいて地主と借地人が協議して決めましたが、借地料の増額や更新料の支払いも元の契約条項で明確に定められてるわけじゃない。

地主が借地料増額にこだわってもっと交渉してもいいし、借地人が逆に減額交渉をするのも更新料を拒否するのも自由です。

でも今回は、地主も借地人も争うつもりはなかったので、揉めることなく、第三者的にみても公平な条件で合意できました。

 

地主Sさんは将来的に借地権をどうすればいいか?

地主としては契約更新によって、借地契約はさらに30年間続くことになり、とりあえず年間で5万円の借地料収入は得られます。

しかし、相場としては妥当でも金額そのものは少ない。30年貸しても総額で150万の賃料収入しか得られない。

だからSさんも貸し続けるメリットを感じられず(返してもらえないのは理解しているが)できるなら早く土地を返して欲しいというのが正直な気持ち。

 

30年で150万の賃料収入よりも金銭的メリットを得られる方法

地主のSさんが、この借地の状態を続けるよりも金銭的なメリットを得られる方法があります。

それはこの借地10坪をそのまま借地人Zさんに売ってしまうことです。

個人的には30年貸し続けるよりも売るのをおススメしたいですがその理由を説明します。

 

借地10坪を借地人に売った方が良い3つの理由

  1. 借地で貸し続けても収益が少ないから
  2. 借地が返ってきても資産価値に影響しないから
  3. 借地人はのどから手が出るほど欲しい土地だから高く売れる

このケースに限っての話ですが、借地を借地人に売った方がいいと思った理由をいいます。

Sさんの借地10坪はもともと実家の庭先の一部だったところですが、もともと変形地だった部分を貸しているので、借地料も安いし収益性が低いというのが一つ。

もう一つは、この借地部分がない方がご実家の土地の地形が良いので今のままで問題ない。

奇跡的に借地部分が返ってきてとしても資産価値向上に影響しない土地が10坪増えるだけ。

そして最後の理由。

これが一番のポイントですが、借地人の立場で絶対欲しい土地なので高く売れる可能性が高いということ。

この借地部分がないと賃貸マンションが存在できない。

つまり、借地人としては資産価値の維持と向上のためにも買えるなら絶対に欲しい土地なのです。

坪数も小さい分、相場より多少高くても、借地人も喜んで買ってくれます。

 

Sさんの借地はいくらで売れるか?

Sさんの借地のあたりの土地売買相場は坪40万円くらいです。

この借地10坪は第三者に売ろうとすると坪10万でも買う人はいませんが、借地人Zさんなら相場の坪40万円なら確実に買うでしょう。

もっと高くても手に入れておきたい土地です。

坪40万で売るにしても総額400万円です。

毎年5万円を30年かけて150万を得るのと、いま売ってすぐに400万円を得るのとどちらがSさんにとってメリットがあるでしょうか。

これらを総合してみると、地主のSさんにとって借地の所有にこだわり続けるよりは、高く売れるうちに売っておいた方が長期的に考えても金銭的なメリットは高いといえます。

 

交渉ごとは感情論や一方が得する話はNG,冷静に共にメリットがある話だとまとまりやすい

借地権の解消という方法論で言えば、地主が借地人の賃貸マンションとその土地を買い取るとか、借地と賃貸マンションとその土地を共同で第三者に売るというのも理屈上は可能ですが、現実的ではありません。

一般論として、借地権を解消したいという相談においては、地主と借地人の関係性がよくないことも多く、感情論が先立つと話がこじれてまとまらないというのはよくある話です。

地主Sさんと借地人Zさんは、今回の契約更新の話のなかで、お互いに相手の事情も理解し、誠実に対応されたことで関係性が深まりました。

いずれまた借地権の整理についての相談もでてくるでしょうが、今回のようなスタンスで協議できればこれから先もお互いにメリットのある形で借地問題を解決できるはずです。

  • この記事を書いた人

代表 山本直嗣

春日井シティ不動産株式会社代表。昭和48年生まれ。宅地建物取引士、不動産コンサルティングマスター、心屋認定リセットカウンセラー。妻・子5人の7人家族。強みは、不動産売買や管理だけでなく、地域の商店会やPTAや神輿会など地元の縁やつながり。春日井の不動産と暮らしと人の魅力をブログで発信。お困りごとは24時間365日対応します。趣味はラグビーとキャンプと四柱推命。

-借地権
-, ,