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春日井名古屋の借地権整理

【春日井】地主と借地人と居住者が関係する借地権を底地と一緒に売却して整理したケース

親から相続した築50年の借地権付き建物を売却できないか?

「親から相続した築50年の借地権付き建物を売却できないか?」

Tさんから相談を受けたのは3年前。

借地権付き建物というのは、その名の通り、借地上に建っている建物(住宅)のこと。

土地は親の姉妹、Tさんの叔母の所有物ですが、いわゆる旧法借地権の権利なので、借地料を支払ってその建物が存続する限り、消滅することのないほぼ半永久的に土地を使用することができる強い権利です。

なので建物の価値とは別に借地権という権利そのものが資産としての価値が認められていて相続税などの課税対象にもなりえます。

細かい説明は省きますが、Tさんの借地の場合、相続税評価でつかう路線価における借地権割合は50%となっていて、ざっくりいうと、土地の相続税の計算上は、地主と借地人であるTさんで半分ずつの資産状態となっているわけです。(あくまでも相続税の計算上ですが)

Tさんは、その借地権付き建物を売って換金したい。

売れるなら売りたい。

そう希望されたわけですが、実はこのTさんの借地権付き建物、Tさん自身は住んでないのですが、Tさんの従兄弟が20年以上前から居住しているという状況でした。

なので、もし売る(売れる)としても、地主(叔母)だけじゃなく居住者(従兄弟)ともいろいろな調整が必要です。

いずれにしても一筋縄でいかないむずかしいケースです。

 

借地権の整理、4つのパターン

一般論として、借地権を整理する手段というのはパターンが決まっています。

今回は、借地人からの相談になるわけですが、基本的に解決のための方法は4つです。

  1. 借地権を地主に買ってもらう。
  2. 借地権を第三者に買ってもらう。
  3. 底地を借地人が買い取る。
  4. 地主と借地人と共同で土地を第三者に売る。

どのパターンも利害関係のある相手のいることなので、こちらの希望どおりに成就するかどうかは別として、整理の方法としてはこの4つのパターンしかありません。

今回のTさんのケースにあてはめて、まずは選択肢として有りか無しか、1つずつ解説していきます。

1.借地権を地主に買ってもらう。

地主が、借地権を買い取るパターンというのは、わりと多いケースじゃないでしょうか。

地主は借地権を買い取ることで、本来の完全な土地の所有権を取り戻すことになり、今後は自分の一存で好きなように土地活用をすることができるようになります。

ただし、買い取る価格が合意すればの話なので、実務としては、借地人がお願いする立場のケースにおいては、買取そのものを拒否されることも多いですし、都心の一等地を除けば、かなり安くであっても買取をしてくれるだけラッキーといえるかもしれません。

今回のケースにおいては、地主とは敵対的な関係ではなく、条件によっては買い取ってくれる可能性はゼロではありません。

高値での買取は現実的ではないと思われますので、Tさんの選択肢としては有りですが、△としておきます。

2.借地権を第三者に買ってもらう。

借地権を第三者に買い取ってもらうというのは、基本的には、ファーストチョイスではなく、消去法の選択肢になります。

地主も買取してくれない。自分も買取できない。共同で売却もできない。

最後のどうしようもない場合の選択肢として、借地権を買い取ってくれる第三者を探すことになります。借地人は変わりますが、借地権の状態は続きます。

ただし、借地権の買取というのは一般的な市場はなく、第三者というのは業者の買取のイメージです。

買取金額は期待できません。地主の承諾も必要です。

都会の一等地ならまだしも郊外の借地権に値段がつくかは微妙なラインでハードルは高い。

あくまで最後の手段ですから、Tさんの選択としては、×に近い△でしょう。

3.底地を借地人が買い取る。

借地人が底地を買い取ることで、土地の完全な所有権を手にすることができます。

完全なる自分の不動産なので、そのまま住み続けてもいいし、将来売却するときでも、すべて自分の一存で決めることができるようになります。

しかしながら、借地権整理に限らず、そもそも地主が土地を売るという選択をするのは余程の事情があるときなので、借地人が地主から底地を買うというケースは、自分の経験上ではほとんどありません。

仮に、地主が底地を売るとして、借地人の資金力が足りない場合や価格で折り合わない場合も多いです。

今回のTさんの場合は、そもそも買取は希望もされておらず、選択肢としては×です。

4.地主と借地人と共同で土地を第三者に売る。

土地を第三者に買ってもらい、地主と借地人でその売却代金をあらかじめ決めた割合で分けます。

土地を売却して換金するという観点では、一番高く売れる可能性が高いですが、一般的な地主の感覚としては、一緒に土地を売って代金を借地人と分けるというのは受け入れ難いという場合が多いです。

双方に売却の意向があるならば、お金の配分に関しては、お互いにWIN-WINでフェアにもっていきやすい方法だと思います。

Tさんの場合は、居住者(従兄弟)がいて立退きの問題はありますが、昔に叔母が土地の売却の意向がある情報も得ていて、可能であれば、まずは共同で土地を第三者に売却希望ということで、選択肢としては◎です。

Tさんの場合の借地権整理、選択肢と3つのポイント

Tさんとしては、築50年の古家を親から相続したわけですが、土地の叔母のもので、家は従兄弟に貸してる状態。

多少の家賃は従兄弟から入るが、借地料を叔母へ支払えば収益はゼロです。

相談を受けたときは、借地権のこともご存じなくて、この家を今後どうすればいいのか、単純にアドバイスが欲しいとのことだったので、換金ということであれば、借地権を整理するしかない。

しかし実務としては、利害が対立する地主という相手方のある話なので、こちらの希望通りに借地権の整理がすすむということは基本的にはないでしょう。

いかにして借地権整理のスタートラインにたてるのか?

地主に話をもっていっても門前払いで話の糸口もつかめず物別れに終わるということもありえます。

Tさんにとっての最適な選択肢は?

Tさんの場合は、親の代から親戚関係が良好で、地主(叔母)とも仲がよいとのことで、巷でありがちな「地主 VS 借地人」という条件反射的な対立感情はない様子。

居住者も含めそれぞれに現実的なメリットをご理解いただければ、最終的には借地権の整理ができる可能性はありそうです。

Tさんと協議の上、今回の借地権整理の方法として、高望みはせずに金額はいくらでもいいので

借地権の地主買取、もしくは、地主と共同での土地売却。

この2つのパターンを軸に地主と話をしてみることになりました。

借地権を整理する上での3つのポイント

地主は話に応じてくれるか?

借地権整理において、とにもかくにも、地主に拒否されたら、どうしようもありません。

先祖代々の大事な土地を乗っ取られているいう感情が強い地主さんの場合はむずかしい。

しかし、冷静に考えれば、借地権整理ができれば地主にとっても得する話。

その土俵で話ができれば可能性は広がります。

 

 

居住者の立退きができるか?

立退き必須普通は借地人、つまり自分自身や家族が住んでいることが多いのですが、Tさんのケースは従兄弟が住んでいるので、これもやっかいです。

地主買取ならば、従兄弟が住んでいるままでも可能性はありますが、地主が共同での土地売却に応じてくれた場合、居住者がいたままだと第三者への売却は厳しい。

居住者の立退きは原則として必須です。

立ち退きを拒否されると、Tさんには圧倒的に不利。

 

共同売却の場合、土地が売れる見込みはあるか?

この土地は春日井の中でも比較的人気のある立地。

なので、一般の住宅用地としての需要は十分見込めます。

売却そのものにはまったく問題はありません。

ただし、売却代金をどう分けるかは、揉める可能性があるので、要注意です。

 

地主は共同での売却に同意、居住者は立退き拒否・・・どうなる?

Tさんから相談を受けて、借地権の整理にむけて動き出したのは、3年前。

地主である叔母さまに話をしにいくと、いずれ自分もこの土地の整理をしないといけないと思っていたらしく、条件によっては前向きに考えてもいいという好感触。

しかも、自分が買い取るのではなく、共同で土地を売却できるならして、甥っ子であるTさんと借地権割合50%で分けてもよいという。Tさんにとってはこれ以上ないラッキーな話です。

ところが、共同売却するなら居住者の立退きが必須ですが、従兄弟に立ち退きを拒否されてしまいました。

この土地の買い手は、住宅を建てたい人がメインですから、賃借人が居ついたまま土地を買ってくれる人はいません。

いろいろと説得を試みるも、今すぐの立退きはむずかしいということで、いったんは保留にし、継続的に従兄弟との協議を重ねていくことになります。

そこから2年半後に転機が訪れます。

従兄弟の転職が決まり、引越しの機運が出てきます。その頃には、従兄弟さんとも人間関係ができて、ざっくばらんに話もできるようになってましたが、Tさんと協議の上、立ち退き料を払うことを条件に、3カ月後に引越しをしてもらうことで合意しました。

それから、土地売却にむけて動き出します。

場所もよく、地形や大きさも住宅地に最適でしたので、予想通り買い手はすぐに見つかります。

土地の売買契約をし、従兄弟が引越し、建物を解体し、測量をし、土地の決済をし、売却代金をわけ、Tさんの借地権の整理が完了しました。

まとめ、借地権整理はWIN-WIN

正直にいうと、私がご依頼を受ける借地権整理の成功率は、50%です。2つに1つしか成功しません。

相続がきっかけとなることが多いですが、地主さんから頼まれることもあるし、借地人から頼まれることもあります。

どれだけ双方にとっていい話であっても、どれだけ誠意をもって頑張っても、ダメなときはダメです。

力不足で情けない限りですが、相手にもされず門前払いでなにもできずに、依頼者にお詫びすることが2回に1回あります。

それでも、きちんと整理できた場合は、希望通りの条件に満たない場合でも、地主さんにも借地人にも非常に喜ばれます。

今回のTさんのケースは、時間こそ長くかかりましたが、地主と借地人で感情的な対立なく、金銭的な条件でも揉めることがなかったので、居住者の立退きだけできれば、借地権の整理は上手くいくと思っていました。

土地売買の買い手もすぐに決まりましたが、引渡しまでの間に深刻な越境問題が発覚してヒヤヒヤした場面はありました。

それでも、結果として、地主さんや借地人であるTさんも将来の懸念材料であった土地問題が解決して喜んでました。

従兄弟にも立退き料に感謝され、土地の買い手となった若いファミリーも念願のマイホームを建て感謝され、関係者みんなが最終的にWIN-WINとなれた良い事例だと思っています。

借地権整理は上手くいかずへこむことも多いですが、その分、上手くいったときの喜びはひとしおです。

自分としては好きな仕事なので、自分の経験がお役にたてるのであれば、ややこしい案件でもウェルカムです。

春日井・名古屋近郊エリアになりますが、もし、いま借地権についてお困りで、整理ができないかお考えの方は、一度、春日井シティ不動産にご相談ください。

一人で悩んでいないで、専門家に相談するだけでも、ホッと安心される方も多いです。いつでもお気軽にお問合せ下さい。

 

 

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